ひとてまの施工
2022.07.19
古(いにしえ)の大工道具
突然ですが...
古くから世界中で使用され、日本ではおよそ2000年前から使われている、
身近な大工道具って何かわかりますか?
正解は鑿(ノミ)です。
相変わらず難しい漢字...以降はカタカナにします。
皆さん如何ですか...意外でしたか。私は意外でした。
法隆寺や五重塔では残された刃痕から、当時少なくとも10種類以上の
ノミが使われていた事が分かっています。
そんな事から、ノミは日本の大工や建具職人などが使うイメージがあり、
日本古来の道具だと思われがちですが、意外にも日本で使われるように
なるよりも前の紀元前3000年ごろのエジプトやローマの遺跡から銅や鉄で
できたノミが発掘されています。
今回はそんな世界中で古い歴史を持つ大工道具のノミについて
少しお話したいと思います。
まず最初にノミとは材に穴をあけたり、細かい部分を削り取ったりする時に
使うもので、鋸(ノコギリ)・鉋(カンナ)とならんで木材の加工にはなくてはならない
大工道具の一つ。ノミにはいくつもの種類があり、また大小を兼ねることが
できないため大工さんは用途やサイズに応じて何種類ものノミを使い分けるそうです。
ただ、ノミは繰り返し使ってているうちに鋭利な刃先が丸くなっていき、
削れない状態になっていきます。
こうなればお手入れのタイミング。
ひとてまの大工さんたちはそんな道具のお手入れも徹底して行います。
刃表を砥石面にぴったりと合わせ角度を保ち、砥石面の水切れがないように、
前後にしっかり動かしてカエリが出るまで研ぎます。
機械を使用した研ぎ方もあるのですが、機械より自らの手で研ぐ方が
鋭利に仕上げることができ、きちんと手入れすることにより長持ちするそうです。
その方が愛着もわきますよね。
大工道具はその形や大きさ、本当にたくさんの種類があり大工さんによっても
違いがあります。しかし、良いモノを作るためにはどの道具に対しても、
手入れが徹底されていることが必須だと思います。
だって、「モノには魂が宿る」って言うでしょう...。
道具に魂が宿り、その道具でお家を作る。
自然と心のこもったお家づくりに繋がっていくものだと信じています。